60_死せる獣 -殺人捜査課シモンスン-

死せる獣―殺人捜査課シモンスン (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

死せる獣―殺人捜査課シモンスン (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

コペンハーゲン警察殺人捜査課課長コンラズ・シモンスンは、突然休暇から呼び戻された。学校の体育館で、謎の配置と仕掛けで首を吊られた五人の男性の遺体が見つかったからだ。男たちは幼児性愛者らしい。犯人擁護の世論が高まり捜査は難航するが、コンラズは犯人をおびきよせる罠を仕掛ける。デンマークの大型警察小説(ハヤカワオンラインより)
これほど肌に合わない作品は久しぶりだ。一番の読みどころは、学校の体育館に吊るされた5人の惨殺死体の表現だけ。主人公であるコンラズをはじめ、いろいろな問題を抱える捜査班の刑事たちを丁寧に書き込んでいるのだが、それがストーリーと絡んでこないのでストレスを感じる。クライマックスも、犯人グループのリーダーとコンラズの一騎打ちがあれば、もう少し入り込めたかもしれない。全体的にいろんなパーツが組み合わされずにバラバラのまま終結してしまった印象を受けた。
舞台であるデンマークの社会情勢に詳しくないので、本作が社会派ミステリに分類されるかは不明だが、小児姓愛者撲滅キャンペーンの展開のしかたや、犯人グループへの逆転的な世論とか、現代社会の脆さみたいなものを考えさせられた。500ページを超える大作なのだが、自分にとっては色んな意味で重たいだけの作品だった。
2012/6/19 asuka