59_アイ・コレクター
- 作者: セバスチャン・フィツェック,小津 薫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/04/06
- メディア: 新書
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エピローグから始まり、プロローグで終わる。ページが遡っていく不思議な仕掛け、軽快なテンポとめまぐるしく展開していくストーリー。そして、<つづく>のテロップがでてエンドロールな結末。なんて、ハリウッド的な作品なんでしょ。でも、それ以上でもそれ以下でもない。決してつまらないわけではないけれど、面白さに奥行きがない。読み応えはあるけど読みにくい。非常によいサスペンスに仕上がっているんだが、表面的に面白いだけで終わってしまっていて歯痒い感じなのだ。じゃあ、どこが悪いのかといえば、キャラクターは主人公の新聞記者も盲目の女性もちゃんと立っているし、ストーリーも適度にポイントがあってメリハリがついている、終盤にかけての緊張感の高まりとショートレンジの場面転換など動きもある、そして終わり方にもサプライズが用意されている。ということで、悪い点が見当たらない。小説として優等生過ぎることで、表面的な面白さで終わってしまっているのだ。いってしまえば平均点。なので、印象に残らない。ジェフリー・ディーバみたいな感じではあるが、なにかに突出していないのでディーバに追いついていない。褒めたいのか貶したいのか、感想までどっちつかずにしてしまう本作。ある意味、すごい本なのかもしれない。
2012/6/19 asuka