53_修道院の第二の殺人

修道院の第二の殺人 (創元推理文庫)

修道院の第二の殺人 (創元推理文庫)

英国の図書館で、最愛されている作家アランナ・ナイトがおくるヴィクトリア朝エジンバラを舞台にした歴史ミステリ。
警察官であるファロは、絞首刑直前の殺人犯のハイムズが2つの殺人事件のうちのひとつは自分が犯人であることを認めたが、ふたつ目の犯行は頑なに拒否する姿を見て、疑問をもつ。ハイムズの刑が執行された直後、重病をおしてハイムズの双子の妹が、ふたつ目の殺人事件の真相究明をファロに託す。ファロの義理の息子ヴィンスと再捜査を開始する。

ポール・ドハディの修道士アセルスタンみたいな作風かと思ってましたが、全然違いました。ドハディほど硬派な歴史ミステリではなく、舞台がヴィクトリア朝時代であるだけで、歴史云々は特にストーリーに絡んでません。ミステリ的にも淡白な感じは否めませんが、ファロとヴィンスのキャラクタが生き生きとしているせいか、読みにくさもなく、ハードルの低いミステリに仕上がっています。本作はシリーズ第1作だったこともあり、助走的な印象を受け増したが、訳者あとがきで第2弾は歴史ミステリ好きを虜にさせるできばえということなので、そちらも期待しましょう。まったく余談ですが、ファロ・ヴィンスがファイロ・ヴァンスに見えるのはカタカナの魔法でしょうか。

2012/03/21 asuka