15_吹雪の山荘

雑誌ミステーズで連載されていたリレー小説をまとめた待望の1冊。執筆陣も笠井潔、岩崎正吾、北村薫若竹七海法月綸太郎巽昌章と豪華ラインナップ。この面子のリレー小説となれば期待しないわけには行かない。
が、4番バッターばかりをそろえても、優勝できない某球団になってしまった印象をうけた。どうもリレーのバトンがうまく繋げられていない。各作家に分担章で小さな謎の提供とそれの解決を義務付けられており、その縛りが小説全体のまとまりを欠く結果となってしまっている。解決に近い部分を書く苦労もあるのだろうが、最終章一つ前から風向きが怪しくなり始め、最終章の事件解決に至ってはもはや本格小説の解決ではなく、大きく広げすぎてしまった風呂敷をたたむのに終始した感。
この面子でリレー小説をするという企画が実行できたことは褒めるが、小説の仕上がりは褒められるものではない。巻末にまとめられた参加作家の解決予想を読んでいるのが一番楽しかった。舞台裏も覗けたしね。

2008/02/28 asuka