34_ロジャー・マーガトロイドのしわざ

ロジャー・マーガトロイドのしわざ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1808)

ロジャー・マーガトロイドのしわざ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1808)

21世紀になって、現代の作家が1930年代を彷彿とさせる素晴らしいミステリが展開される。これはまさしくミステリ黄金期へのオマージュである。吹雪の山荘、密室殺人、全ての登場人物に憎まれていた被害者。舞台はそろい、暗い過去を持つ容疑者たちも登場。いかめしい引退警部とひとりテンションの高い推理小説作家のいがみ合い。役者もそろった。あとはどんなテイストのミステリになっているか。容疑者全員を一同に集めての取り調べがはじまり、第二の殺人(未遂に終わる)が起こり、そして謎解き。
「トリックなんて飾りです。偉い人には、それがわからんのです」
おぉ、なんてバカミスな落ちなんだろう。うれしいくらいに肩透かしを食わされて、それがなんだか爽快感を生む。「確かに、ロジャー・マーガトロイドのしわざだったけど、ギルバート・アデアに一杯食わされたね」。
バカミスだけに読者を選ぶ作品だが、これは読んでおいて損はない一冊。

2008/01/21 asuka