13_チーム・バチスタの栄光

チーム・バチスタの栄光

チーム・バチスタの栄光

これでもかというくらい医学専門用語が飛び交うが、それを全く気にすることなくスラスラと読み進めていくことができ、ミステリを堪能できる作品がいままであっただろうか。まさに「このミステリがすごい」と賞賛できる作品である。
凸凹コンビともとれる私こと田口医師と宇宙人のような厚生労働省役人の白鳥。このふたりの掛け合い漫才のような会話のテンポが、そのままストーリーのテンポとなってあれよあれよという間に事件が暴かれていく。キャラクターをこれだけ際立たせている中で、推理の論理性を失わずミステリの読み応えを維持している。田口と白鳥の掛け合いのゆるさと、手術シーンでの緊張感のバランスが絶妙であり、物語りの緩急を生んでいるので冗長さを感じさせることなく読者の集中を誘っている。デビュー作とは思えないほどの完成度の高い作品に仕上がっている。
単純に「面白い」という一言につきる。

2007/12/24 asuka