27_メフィストの牢獄

メフィストの牢獄 (文春文庫)

メフィストの牢獄 (文春文庫)

物語りとしては凡作だが、スレイド転換期における重要な意味を持つ作品なのかもしれない。なぜかと言えば、今回の事件はスペシャルXが大きく変りかねない事件だからである。本作が新規スレイド作品の序章の位置付けとしている終わり方が、得意技のフィニッシュストロークと言えるのだ。それを感じ取れなければ、真のスレイディストとは呼べない。過去を清算し、新たな展開を見せるスペシャルXシリーズ。次の翻訳が待ち遠しくなる1冊だと断言する。
いままでのスレイドを期待していると、確かに物足りなさを感じる。キャラが動かない、ストーリーが展開しない、スレイド特有の壊れ度合いがない。本当にこれがスレイドの作品なのかと疑いたくなる。表紙カバーの紹介には、本作はジェイ・クラークの単独執筆とあり、渋々納得する以外にはないのかもしれない。前作「斬首人の復讐」がオリジナルメンバーでの最後の作品になったようだ。本作以降は、クラークと彼の娘との合作となるらしい。クラークの娘がどれだけスレイドの作風を引き継げるかを期待したい。

2007/10/23 asuka