22_鋼鉄都市

鋼鉄都市 (ハヤカワ文庫 SF 336)

鋼鉄都市 (ハヤカワ文庫 SF 336)

SFミステリと謳われているが、ミステリ要素は少ない。そもそもジャンルの分類がSFなのだから、ミステリ要素に期待を寄せすぎた結果のギャップなのかもしれないが。
人類とロボット論が熱く語られており、興味深い。アシモフの考えだした、ロボット工学3原則なるものがあるらしい。
第1条:ロボットは人間に危害を与えてはならない。またそれを看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第2条:ロボットは人間に与えられた命令に服従しなければならない。ただし、与えられた命令が第1条に反する場合は、この限りではない。
第3条:ロボットは第1条および第2条に反する恐れのない限り自己を守らなければならない。
このロボット工学3原則を破らなければならない立場に陥ったロボットが、どのような行動に出るのか。また、人間はどのように対処していくのか。殺人事件という題材を元に、論理的に語られていくのである。乱暴な言い方かもしれないが、本作品では殺人事件の犯人の追及よりも、ロボット工学3原則の追及の方を優先させているように感じる。
現実にはアシモフのロボット工学3原則を気にしなければならないほど、ロボット技術があるわけではないので、SFの世界での空想論を脱するには、まだまだ時間が必要だ。余談だが、作中に出てくるロボットは、アンドロイドなのだが。参考までに、ロボットとアンドロイドの区別は、ハヤカワSFハンドブックによれば、以下のとおり。
・ロボット(科学用語)
 広義の意味でのロボットには工業用ロボットも属しますが、SFの中では、形態や感情において人間に似せて作られた機械と定義されます。
・アンドロイド(SF用語)
 人造人間と訳されロボットの一種ですが、外見上人間と区別のつきません。そのため有機的なイメージがあります。
ヒューマノイド(SF用語)
 アンドロイドとヒューマノイドに厳密な定義上の差はありませんが、アンドロイド は人間が作ったロボットであるのに対し、ヒューマノイドには人間のような形態をした異星人というニュアンスがあります。

2007/03/31 asuka