08_三鷹事件

三鷹事件―1949年夏に何が起きたのか (新風舎文庫)

三鷹事件―1949年夏に何が起きたのか (新風舎文庫)

竹内景助の裁判を中心に、三鷹事件の真相にせまろうとしたドキュメント。
先の下山事件に端を発した、昭和24年鉄道3大事件の2番目に起きた事件。この事件から、意図的に共産支持者への排除と弾圧が強くなってきた上に、表面化させようとしていることを感じさせる。事件の時代背景を考えれば、共産党三鷹事件松川事件を起こすことにメリットは感じられない。アメリカ占領下での共産党の台頭を阻止しなければならない、GHQと日本政府の策謀ととらえられても仕方がないだろう。よっぽど警察の方がまっとうな捜査をしていたのは間違いない。検察も事件の真相を暴くというよりも、生贄的な人間を裁判にかけ、世間から事件が風化していく時間稼ぎをしていた印象を受ける。
この本に関しては、竹内景助の有罪、無罪を長々と問い掛けるよりも、それを題材に、もう少し違った角度から検証できているれば、990ページという長さにもならなかっただろうし、事件の大筋をつかみやすかったと思う。

2007/03/25 asuka