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SS‐GB〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)

SS‐GB〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)

SS‐GB〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)

SS‐GB〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)

第二次世界大戦下、ドイツに占領され、鉤十字が全土にはためくイギリス。国王はロンドン塔に幽閉されている。街中はドイツ軍とナチの親衛隊が闊歩し、スコットランドヤードもその支配下にある。そんな架空のロンドンでひとつの殺人事件がおきる。戦時下の闇物資にまつわる平凡な殺人と思われたが、ドイツ本国から親衛隊将校が送り込まれてから、事件は意外な展開をみせる。事件を捜査している、ロンドン警視庁きっての凄腕、アーチャー警視は、ドイツの新兵器開発、イギリス国王救出作戦へと巻き込まれていく。
以上が、大まかなあらすじである。
いろいろと盛り込みすぎで、核となるものがはっきりしていない。途中の退屈感がきつかった。プロットは面白いし、小説としての面白みもある。ただ、焦点が絞れていないので、上下巻組がやけに長く感じた。
戦時中のヨーロッパの情勢を予備知識でもっていると、違った感想をもてたのかもしれない。ヒトラーばかりにスポットがあたり、ドイツを中心としたヨーロッパ戦線はなかなか日本人には見えていない部分である。大戦時を舞台としたスパイ小説や戦争小説を読みなれている人には、十二分に楽しめる作品であることに間違いはない。

2007/03/08 asuka