17_リジー・ボーデン事件

リジー・ボーデン事件 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

リジー・ボーデン事件 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

1892年8月。マサチューセッツで起きた、老夫婦惨殺事件。当時容疑者として逮捕されたのは、3女のリジー・ボーデン。裁判の結果は無罪と言い渡されたが、本当に彼女は無罪だったのか。リジー・ボーデン事件を良く知らないので、小説として読んでいた。ローンズは、リジーを犯人と決めて、彼女が両親を惨殺するまでの経緯を描く。オールドミスとなりつつあったリジーの心理にスポットをあてている。
事件自体はノンフィクションなのだが、事件の真相にせまっているように感じられない。再現小説風に成っているものの、リジーが両親(特に継母)に対する憎しみが増大していく過程が、心理的な描写で伝わってこない。安っぽい再現フィルムを見ているようなのだ。高まっていく緊張感、殺人のシーンのショッキング度、何者かが侵入して両親を殺したと証言するリジーの葛藤などなど、読ませどころをつかんで、読者を引き込んで欲しかったと思う。
相性が合わなかったのは、私が勝手に、安楽椅子探偵の体裁、もしくは先に読んだ松本清張の「アムステルダム運河殺人事件」の体裁かと期待しすぎたせいなのかもしれない。

2007/01/27 asuka