05_日本国殺人事件

日本国殺人事件 (ハルキ文庫)

日本国殺人事件 (ハルキ文庫)

ひょんなことから、読むことになった一冊。

「時の森殺人事件」のクライマックスで、あんなことになった捜査官、里見、立松、鯨岡が帰ってきた。詳しいことは語られていないが、無事に戻ってきてなによりである。立松と鯨岡のキャラクターは変わっていないが、里見のキャラクターが以前にも増して軽くなっているのは、命拾いをしたせいなのだろうか。「光速の推理」を展開するが、天才探偵を通り越して、ほとんど神の領域に入っている。光速の推理部分については、「時の森殺人事件」同様に推理と言うよりは、説明で終わってしまっているのが残念。
メイントリックが2つあるのだが、ひとつは光速の推理で説明されている。もうひとつの方は双子トリック。割と早い段階でありきたりな双子トリックを暴いているので、どういう展開に持って行くのかと期待を煽る。最後で謎は解かれるが、あるていどミステリを読みなれている読者には当てがつくのではなかろうか。
冒頭に練習問題という、人物名と地名の読み取りがあるのだが、読み流せずに、思わず真剣に考えてしまうのは、資格試験大好きな日本人の性なのだろうか。
最後のシーンを読んでいて、吉村達也と言う作家は、この手の終わらせ方が好きなのかと勘ぐってしまう(「時の森殺人事件」と同じような終わり方だったもので・・・)。

2007/01/08 asuka