04_時の森殺人事件

時の森殺人事件〈6〉最終審判篇 (ハルキ文庫)

時の森殺人事件〈6〉最終審判篇 (ハルキ文庫)

上記のリンクはハルキ文庫のものだが、私が今回読んだのは、中公文庫版である。
1990年前半、「ツインピークス」が大流行していた。当時専門学校生だった私は、レンタルビデオ店でバイトをしていたが、3セットあった「ツインピークス」の回転率が異様に高かったことを憶えている。「ER」から始まる最近の海外ドラマブームも、「24」や「プリズンブレイク」「LOST」などへ引き続き、相変らずワンパターンは恋愛モノ主体のドラマを作りつづけている日本のテレビ局の無能さを引き立たせている。
ツインピークス」を見た記憶はあるのだが、内容はほとんど失念している。カイル・マクラクランがかっこよかったくらいの印象しか残っていない。そんな「ツインピークス」の和製「ツインピークス」として鳴り物入りで発売されたのが、この「時の森殺人事件」である。「ツインピークス」を憶えていないので、比較の仕様がないのだが、思っていたよりも楽しめた感がある。6巻にもおよぶ大長編ともなると中弛みや尻切れを危惧していた。そんな心配をよそに、場面展開が良く、テンポに乗せられて一気に読み進めることができた。ストーリー的に、3巻までの謎を4巻以降から回収にかかるのだが、登場人物たちの説明で謎が回収されていくため、「謎を解く」というよりも「謎の答えをご開帳」になってしまっている。ここまで風呂敷を広げてしまっているので、たたみかたの方法としては仕方がないのかも知れないが。吉村達也はこの作品が初体験だが、ミステリ云々よりも小説として読ませる腕を持っているのではないだろうか。
長ければよいと言う物でもないが、長いからこその面白みもあるのだ、ということを感じされられる作品である。

2007/01/07 asuka