49_アインシュタイン・セオリー

アインシュタイン・セオリー (ハヤカワ文庫NV)

アインシュタイン・セオリー (ハヤカワ文庫NV)

冒頭の老科学者の暗殺シーンから息詰まるサスペンスが幕を開ける。科学史学者のデイヴィットは、死を目前とした老科学者から謎の16桁の数字を託された。その数字を聞かされた途端にデイヴィットはFBIに拘束される。尋問を受けるなかで、16桁の数字がアインシュタインが封印した「統一場理論」を解明する鍵だということに気がつく。尋問が続くFBIのアジトが何者かに急襲され、デイヴィットは脱出に成功し、女性物理学者モニークとともにFBIと謎のロシア人傭兵から決死の逃亡をはかる。
サスペンスものとして読み応えはあるものの、逃亡のスリルが繰り返されるために冗長感が否めない。肝心な統一場理論についてもサラッと流してしまっていて(ま、詳細に物理学を展開されても理解はできないからこれはこれでいいんだろうけど・・・)、必要なまでに追われる理由に疑問も感じる。16桁の数字の謎だけではなく、統一場理論を紐解く何かを逃走中にかき集めて組み合わせていくように謎解きにもひと工夫欲しかった。ストーリーに上手さが加わらなければ、ダン・ブラウンのラングドンシリーズには追いつけまい。

2009/01/12 asuka